2011年4月29日金曜日

質問者O氏への返答

< O氏による質問 >
 
Sent: Sunday, April 24, 2011 10:05 PM
 
お久しぶりです。お元気ですか。

震災から1か月が過ぎました。
そろそろ情報を検証し始められる時期かなと思います。
何点か疑問に思うことがあり、ご教示いただければと思います。

TVに出てくる方はほぼ「何ミリシーベルト未満なら人体に影響がない」
という「しきい値」説ですが、一部では反論もあります。
その点について、何か参考資料でも教えていただければ幸いです。

あと、生物濃縮についての参考資料もありましたらよろしくお願いします。
(いきなり+勝手なお願いですいません。)
 
JCOの教訓は、今回どうやら生かされなかったですね。
 
 
 
<質問者 O氏への返答>
大変失礼ながら、もう一度お名前を記名して送ってくだされば幸いです。
 
こちらは、震災に関するブログをへたくそながら英文にする作業をしつつ、
ブログでの自分の発言の検証を、4月中旬におこなっておりました。
 
地震直後に被災地の様子と救済対策を壮大なスケールで打ち立てました。
もちろん、政府や警察、マスコミから正確な情報がすぐに入ってくるような立場ではなく、
すぐさま最善の策に訂正する余裕もありませんでした。
最近になり、救助活動や冷却措置で生じた、実際のトラブルと比較し、自分の記述のかなりの部分に
手ごたえを感じているところです。仙台の内陸が、情報不足で心配しておりましたが、
レスキューや警察、消火活動の甲斐があり、多くの人命がすくわれ、
その一方で大都市で孤立する被災者救済がどこまでうまく機能しているのか、
調査がまたれるところです。
 
生物濃縮については、古典「沈黙の春」の頃より、
多くの学者がすでに確立をしており、簡単な教科書レベルのないようでしたら、
一般の書店や辞書で十分であろうと思います。
放射性物質に関しては、
京大原子炉実験所准教授の今中哲二(いまなか てつじ、1950年9月- 日本工学者原子力工学)という方が、
チェルノブイリ関連の文献も扱い、最近テレビ等のメディアで活躍なさっており、
参考になされればと思います。
 
しきいち(閾値)は、効果があるかどうかの境目という、あの閾値(いきち)のことでしょうか。
動物実験で同一条件で毒性のあるものを投与しても、個体差と言うものがあり、
データが多いほど具体的な境目の数値が求められることと思います。
しかし、広島、長崎、チェルノブイリ、スリーマイルで厖大なデータを処理したとしても、
福島とはやはり条件が異なり、○○なら大丈夫、もしくは有意に罹患率、死亡率が高いと言い切るのは難しいでしょう。
この先、10年間、正直にデータを集めれば、日本において、今回の事故でどのくらいなら大丈夫であったのか、
「文献」にて指摘できるのはかなり先であると思います。
 
政府もメディアも、これに関しては、
知っていながら決して隠しているわけではなく、
「ここまでなら安全宣言」というのは、責任が持てない。
それで言うにいえないわけです。
 
中性子線や放射性物質にぶちあたるのは、「確率」の問題であり、
より近くに、より長時間、より多量に肺や口内に摂取をすれば、
それだけぶちあたる危険が高まる。
たとえていえば、ロシアンルーレットか宝くじかといったところです。
低レベルの食品も、毎日多量に摂取すれば、少量の高レベルの食品に等しい。
そして、この環境汚染のすでにひどい日本で、
まったくもって安全な場所と言うのはなく、もっと死亡率の高い原因もあり、
やみくもに逃げ回るのもどうかと思われます。
 
ただ、大阪生まれの人間としては、
大阪は東京よりはまだましであるが、九州よりは安全ではない。
九州の人がわざわざ大阪に避難するのは無意味であるが、
関東の人であるなら、少々のリスクは覚悟の上の関西への避難は、
何らかの効果が期待できるはずであると信じています。
 
大阪がすでに危険であるなどとは、できるだけ思いたくない、
それはどの都道府県の住民の方も、自分のところだけは安全であって欲しいと思うものでしょう。
 
屋外に出ないほうが良い、ミネラルうウォーターが良い、マスクをつけたほうが良い、、、
インフルエンザの時と同じ対応であるが、それを10年も続けるのは非現実的です。
日本全国みなが被災者のつもりで、それぞれが出来る範囲のことを
妥協しつつ精一杯やっていくしかないのが、庶民なのではないでしょうか。
 
 

地震や災害についての過去のブログについて

「今日の提言シリーズ1」の12月5日「鳥インフルエンザは強毒性」のブログに、
地震や災害についてコメントしております。
あらためて、こちらに転載いたします。


2010年12月5日日曜日

鳥インフルエンザは強毒性



  • "アバター"

    • 去年は中毒性の豚インフルから新型インフルエンザに突然変異しました。
      インフルは、渡り鳥から人と共通点の多い豚に移ると人に感染しやすい強毒性の新型インフルエンザに突然変異する可能性がある。
      昨年はたいしたことが無かったからとたかをくくらず、
      地道な警戒が必要。オオカミ少年になることを恐れるな。
      死んだ鳥にはむやみに触らない。大量死は隠さない。
      日本の誠実な態度が、世界の大流行を防げる。
      日本が隠すと、社会的弱者や、発展途上国の死者が増えます。

    予防に金をかけすぎるのは保険に金をかけすぎるのと等しいが、
    それでも無保険で大病や大災害に見舞われることのリスクと同等であると考えると、
    「予防」という名の保険をはっておく方が社会コストが少なくて済む。
    特に、人材、子ども達を失うと少子化日本は痛手が大きい。

    災害は人災である。特にウィルス性の疾患は、人口過密、グローバル化によってもたらされた。人類の移動が緩慢な昔ならば、免疫がつきながら蔓延する余裕もあった。町を村を封鎖さえすれば、いくらでもウィルス進入を防ぐことができた。今はそれができない。人間の叡智でできた都市は同じく叡智で守らねばならない。

    地震も水害も、狩猟採集の太古ならば、ごく局地的な災害であり、復旧も速やか。地震により火災が広まることも、救出が遅れることも、水や食料が尽きるようなことも太古では考えにくい。人口過密の都市であるからこそ、ビルの倒壊、エレベータ閉じ込め、地下街の水没が起こる。
    そして、公民館や体育館での避難生活、仮設住宅等が必要となる。
    親戚や近所づきあいも希薄であるため、個人や個々の家が孤立する。

    その人口に見合った井戸や畑がないために、周辺地域から輸送しなくてはならないが、そのための鉄道や道路も破壊される。

    その点、田舎へ行くほど安全である。田舎のよさ、小さなブロックで全てが解決するコンパクトさを、都市ももたねばならない。現代の都市は、進化しすぎたホ乳類のようである。抜けた歯はさめのように替え歯が無く、切れた手足はミミズのようにそのまま動き続けることはない。ミミズのように(あるいは電車のように)、小さなユニットが集まった生き物は、損傷に強い。都市も擬似的な生命体ととらえると、市町村ごとの独立性、県毎の独自性があるほうが災害時、緊急時に強い。平素は一つの国家として機能しながら、緊急時には迅速な対応がここの市町村で取れるような体制があれば、ミミズやムカデのような損傷に強い都市になれるはず。

  • 2011年4月19日火曜日

    ブログとフェイスブック掲載のまとめ。Summary of Blogs & Facebook

    ●Facebookにも、「今日の提言シリーズ2」を
    日本語、英語にて転載しております。
    つたない英文は、直筆ですのでご容赦のほどを。


    これまで掲載したブログをまとめますと、

    ●Today's sugggestion 今日の提言(モバトークより)シリーズは、こちらです。
    ……モバゲータウンの投稿、2010年10月2日以降
    日頃のニュースについて、友人に向けて書かれた、軽いトーク調
    http://tamaki-comoike.blogspot.com/?zx=c5c3a2b8c4362779
    ●Today's sugggestion 2今日の提言シリーズ2は、こちらです。
    ……2010年12月10日以降、日本の皆様に向かっての
    日本語による提案集。Japanese version
    http://tamasemmel.blogspot.com/


    ●Today's sugggestion 2in Englishはこちらです。
    ……2011年2月23日以降、ニュージーランドと日本の地震について、
    日本在住外国人及び海外の方々に、地震先進国である日本が培ってきたノウハウを、
    菰池自身の意見を交えて発信する、シリーズ2の英訳English version 。
    (4月18日に加筆訂正済み)

    http://todayssuggestion.blogspot.com/

    ●たま語録……日本の教育について、10年前より書き溜めたもの。
    http://tamagoroku.blogspot.com/

    現在、この他、
    「柔道&闘病日記」、「信太ワールド」の掲載を検討中です。

    2011年4月10日日曜日

    たま語録のブログ

    「たま語録」というブログには、こちらからお願いします。

    http://tamagoroku.blogspot.com/

    「おじいちゃんの知恵袋&おばあちゃんの知恵袋」案

    被災者ののみならず、一人暮らしをしている学生、社会人男性、子育て中の女性など、
    かつて、家族や近所から得ていた生活情報を、
    身近に受けられるようなサービスはないのだろうか。

    電話相談でもなく、インターネットで自分で検索するのでもない、
    自殺防止、いじめ相談、子育て相談と分化せず、ひとくくりにしたよき相談相手。
    ボランティアのメール友達として、「おじいちゃんの知恵袋&おばあちゃんの知恵袋」
    というシステムは可能なのだろうか。

    家を修理したいが、金がなく自分でやらねばならない、どうすればいいか。
    安く、調理して食べる方法、
    服や靴の修理法。
    身近な法律の相談など

    専門家に聞けばよい、自分で調べればよいと言うが、
    なにがわからないか、わからない、あまりにも情報が多すぎて、
    そして金儲けのための情報が多すぎて、選んでは不利益を被る。

    子ども達に必要なのは、保護者でも先生でもない、役所の人でもない、
    普通の大人の友人との会話だ。
    そして、20代になっても、30代になっても、
    昔のように保護者や先生、地域の人には聞きにくいことが多すぎる。
    質問をすると、同年代の友人関係が崩れ、家族関係や、学校とのトラブル、
    そして地域で悪意のあるうわさのターゲットになるという時代である。

    身近なペンフレンドとしての、メル友、
    仮想空間の家族、
    「おじいちゃんの知恵袋&おばあちゃんの知恵袋」ボランティア
    (日曜大工、家事育児など複数のボランティアが多面的に対応)がいれば、
    被災者の心の支えにもなる。
    また、被災していないが悩みを抱えていて、しかも、
    行政や病院で相談するほどでもない、軽い悩みを抱えている人の
    手助けになるのではないか。

    フェイスブックなら、「〇〇ちゃん、最近顔色悪いが、大丈夫か」などという、
    おせっかいし過ぎない、軽いのりの見守り、
    おじいちゃんおばあちゃん的アドバイスもできるかもしれない。

    漫画やアニメの、磯野家「波平さん、ふねさん」キャラ、「のび太のおばあちゃん」キャラ、
    ドラゴンボールの「亀仙人」キャラや柔ちゃんのおじいさんのキャラ、
    ちびまる子ちゃんといった色々な世代に普遍的なものがあれば、
    仮想空間の知恵袋として、面白いと思う。

    2011年4月4日月曜日

    放射能の影響が子孫にまったく遺伝しないというデマについて、東日本大震災に関して

    テレビ等で、「放射能の影響が子孫に遺伝しない」と言っているというデマが飛んでいるらしい。

    http://oshiete.goo.ne.jp/qa/1567859.html?from=navi_ranking

    微妙なニュアンスで、大きな誤解を生じることがある。
    まずは、質問者による「番組」の説明。

    「(原発ではなく)原爆で放射能の影響で、転座や欠損といった『染色体異常』が生じることがある。
    がん化の確率が格段に上がり、染色体異常は、分裂する細胞に多い。……しかし、『遺伝が原因と見られる病気がない』……何故なんでしょうか??」

    といったものだ。

    以下は菰池の回答である。

    「放射能の影響は、子孫に遺伝病を遺伝しないが、
    厳密には子孫繁栄に影響を与えている。」

    ①子孫繁栄に影響
    というのは、重い染色体異常の子どもは長生きできないうえ、
    減数分裂の失敗で生殖細胞をつくれない。


    減数分裂というのは、父と母とから譲り受けた一組2本の染色体が、一本ずつ配偶子に入る分裂のことだ。頭から足の先まで、きちんと一組ととのった精子や卵をつくる分裂のことだ。
    (染色体異常の子どもが、仮に繁殖力のある生殖細胞をつくったとしても、転座や欠損した染色体のまま遺伝するから、放射能は子孫の遺伝子に影響があるといえる。
    かつての生命の大進化も、何らかの原因により、
    このような大きな染色体異常が遺伝した可能性がある。
    つまり、重い染色体異常の遺伝というのは、
    いきなり、ハ虫類から鳥類、またはホ乳類のような子孫が
    突然生じるレベルの異常ということだ)

    ②遺伝病は遺伝しない
    と言うのは、遺伝病には病気の遺伝子というものがあり、
    優性ならば二つのうち1つ、
    多くは劣性遺伝子が二つ重なると発病するものである。

    ③放射線のDNAへの影響
    放射線により、DNAが傷つくと言うのは、
    DNAの並びがひらがなの日本語であるとたとえると、
    「あいうえお」の「い」が欠損したり、「え」が別の物質の「E」に変わるなどが生じ、
    「あいうえお」が「あうEお」といった、まったく別の意味の単語となり、
    発生が進まなかったり、うまくタンパク質がつくられなくなるといった類のものである。

    分裂の盛んな細胞に多い理由は、すでに筋肉の細胞に特化したものが、遺伝子が傷ついても、そのまま筋肉のままであるが、
    これから別の細胞に分裂しようとしている幹細胞の場合、
    遺伝子が傷つくと、血球や精子、卵へと正しく変化できないためである。
    致死性のものが多いのは、生命維持に係わる奇形が起こりうるからである。

    これゆえ、優性の遺伝子が劣性に変化するわけではないため、
    放射線により、劣性遺伝子が原因の遺伝病が発病することはまずない。
    これが、テレビ番組の「放射能による影響が子孫に遺伝はしない」という意味である。

    デマと言うのは、このような、微妙なニュアンスの取り違えによることもある。