米科学誌サイエンスに発表された記事ということで、信憑性が高い。よくある、〇〇大学の教授が言っていたというのはただの雑談であったり、科学的根拠が低いことも多々ある。ネイチャーやサイエンスに文献があれば、子ども達に授業で教えても間違いないだろう。
『脳にとって、実際の体験と想像上の経験の差は思ったより小さいかもしれない』
脳内でイメージにより経験した気になったことと、実際に食べるなどして体験したことでは、思ったほど差がないというこの論文。
『好物を思い浮かべると通常は食欲が高まるが、その好物を口に入れ、かみ、のみ込む様子を30回も繰り返し想像すると、実際に食べ放題になっても食が進まない』
昔から、良くかむと早く満腹感が得られる。最近のダイエットでは、良くかんで食べるほどやせる効果がある。という説とも一致する。
(硬い食べ物ほどよくかむのであるから、現代のやわらかい食よりも根菜類のような質素な食事のほうが腹持ちがよいのか。かむことと知能との関連、格闘家の歯が摩滅していることから、力仕事や精神集中との関連も、もう一度検討してみる価値があろう)
それよりも気がかりなのは、疑似体験の怖さである。戦闘ゲームばかりしている青少年は人殺しの疑似体験をしていることなり、マニアックな性描写の漫画、写真集やDVDを見る子どもは、その経験を刷り込んでいることとなる。テレビでタレントが年寄りと見れば「じじい!」「死ね」といえば、子どもは自分と意見の合わない年寄りにあったときにとっさにその言葉が出る。語彙や行動パターンといった文化は、本来ならば実体験でのみ得られるべきであるが、テレビ、3Dゲームなど現代のあまりにリアルなメディアの登場で、新しい文化が創造されている。その文化が根付いてもう3~40年経つ。まだ、誰もその影響について未知である。
40年前のコントのギャグの影響で、人々の働き方、ユーモアの表し方はどう変わったのか?テレビや漫画について研究する大学が増えているという。是非、研究成果をもっと発表して欲しい。
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