2011年6月2日木曜日

なぜ、非正規雇用の中途採用は進まないか

なぜ、非正規雇用の中途採用は進まないか。

大学でしっかり学び、資格と実力のある若者が、就職で能力を生かせず、畑違いのところに就職しようとしている。それでも職のない若者は、就職浪人し、フリーターをして正規雇用にチャレンジし続けているが、見つからないか、見つかってもすぐにやめざるを得ない状況である。
今、社会で何が起こっているのか。

学校では、正しい職業観を育成し、フリーターを無くそうと、必死であるが、「彼らは楽な就職をしてしまう」と先生は快く思っていない。
職安は、若者から意欲を引き出そう、若者の立場に立ってカウンセリングしてやろう、少しでもミスマッチを防ぎ、優良な会社を紹介してやろうとするが、やる気がなかったり、すぐやめてしまうと、快く思っていない。

仲介者、会社の人事担当者は、意識改革すべきことがある。
何のために正社員になり、転職したいのか。何のために、中途採用したいのか。双方から前もって聞くべきことが不十分である理由を考えるべきである。

例えば、ワープロの仕事があるとしよう。とある会社は、パソコンの出来る若者が欲しい。「これこれの条件で、ワープロソフトのできる正社員」と希望する。「アットホームだ」「会社にテニスコートがある」「海に保養所がある」などと、若者にアピールすることもある。若者の方が、「これこれの条件で、デスクワークがしたい。パソコンが出来る。趣味はテニス」と希望する。一見、相思相愛に見える。しかし、会社にあるのは一太郎で、テニスコートは夜間照明がないかもしれない。若者はwordしか触ったことがなく、会社は痺れを切らして、一太郎の得意なやつを雇うから、自主退社してくれとなる。

企業は、どんな人材を求めているか。
一時的に新規分野の専門家を入れ、知識技能を補いたい、ピンチヒッターが欲しい、そして、規模を縮小したり、分野が変われば解雇する人材が多い。そのため、前の会社の経験そのままの即戦力を求め、正社員の生え抜きよりも悪い条件で求めてくる。
しかし、少々のでこぼこは大目に見ないと、欠けている形とまったく同じ形のピース(人材)をさがすジグソーパズルばかりをやっていると、小粒な人材しか集まらなくなる。
知識技能や経験のない若者の場合、もっと悪いことに、体力だけを当てにされる。きつい仕事でめいっぱい酷使し、つぶしてから次の若者にすげ変える。不景気で代わりがいくらでも雇え、雇用対策の手当をもらいながら短期で使い解雇する悪徳会社も横行する。職安が会社へ紹介をやめると、会社名を変えて参入し続ける。

転職者は、より良い会社を求めている。不景気で不本意な会社に入ったり、以前より条件が悪くなる一方である。前の会社よりも能力を発揮し、別の職種で可能性を伸ばし、以前よりも福利厚生や給与のアップを願う。経験のない若年者にいたっては、職種を選ぶ自由がほとんどない。今は皆、資格を持っていて当たり前、ペーパードライバーを雇う中小企業は少ない。

会社は、もっと具体的に面接で聞くべきである。ワープロは、どのソフトが出来るか、あるいは、パソコンは、手書きの書類をすばやく打てるのか、ホームページがつくれるのか、会社で必要なスキルについて、もっと突っ込んで聞くべきである。会社のホームページに、会社の思想であるとか、今後の計画をオープンにできる範囲で、詳しく説明すべきである。そして、部門にしても、どういう類の人材が必要なのか、明確にすべきである。
若者の方は、会社研究にて、単に会社の規模であるとか、概要ばかりでなく、どんな分野をこれから発展させようとしているのか、自分の伸びたい方向と一致しているのか、調べるべきである。があまり述べられていないため、社会人経験が少ない、あるいは異業種から参入する場合、何を面接で聞くべきかおさえどころがつかめないのが実情である。たとえ同業種であっても、同じ職務か違う部署で行われたり、やり方が異なる。

そこで、学校や職安など、紹介する側はお互いが何を求めているか、もっと掘り下げるべきである。好景気の時ならば、上に伸びようとする企業、別の業界に手を広げようとする企業が多く、本人の望む方向と比較がしやすかった。また、企業の方も、研修など、社員の成長を待つ体力があった。今の状況を体力と共に温存仕様としている現状で、社員に新しい冒険をさせる余裕もなく、就職してもしばらく下積み、あるいはずっと下積みで終わってしまう。社員の横のコミュニケーションばかりでなく、上に意見をくみ上げる努力があれば、お互いのニーズにパズルのピースが擦り寄っていくであろう。

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